埋葬先を探し出す

探偵の執念が実を結ぶ-03

これまで、斎場などとんと縁がなく、想像した事もなかったが、訪れて見ると驚愕する。
日に朝から夕刻までぎっちり予定が詰まり、これだけの人が亡くなっているのかと感慨を受け、見上げる大きな煙突からはもくもくと煙が立ち上っている状況である。

何か言いしれぬ神妙な気持ちのまま受付を訪ね、訪問の主旨を伝えると、当初怪訝な顔つきであったが、後日の連絡を交わし同所を後にした。

待つこと数日、斎場からの連絡はあった。「何月何日、確かに当方で受け付けています。当日は極く内々だけの少人数の方がいらしていたのを覚えており、密葬的な様相でした。その後は当然、埋葬されたことと思いますが、詳しいことは判りません。」と言った内容であった。予期した事ながら、たんたんとした事の経緯を聞くと、日に何組もの火葬を受け持ち、個々の流れにさしたる感銘も受けず、言葉は悪いが半ば事務的に処理し特別な印象も残っていないのは仕方のないことかもしれないと感じると同時に、墓探しの細い手掛かりも途絶えてしまった。

事の次第を依頼者に報告しなければならないが、どうも気が重い。八方塞がりであり、他に手だてが思いつかず思考も固まらない状態である。諦めムードが漂よっているが、報告書を作成するにしても前回とさしたる変化もなく依頼者の悲痛な顔が浮かんでくる。
せめて最後に、当日の会葬者の中に見知った人は居なかったかどうかその日の斎場の担当者に直に会い、その結果、調査を打ち切ることを決心し、後日再び斎場へ向かった。

既に火葬日時が判っていた為、前回の訪問時よりかスムーズに事が運び、幸いにも当時の担当者が居てくれた。担当者の話も電話内容とほぼ同じであり、参列者にも見知った人は居なかったらしく、耳目を引く話は聞かれなかったが、この担当者は葬儀一式を受け持った葬儀社の名前を記憶していた。

この葬儀社は、冠婚葬祭事業全般を行い、全国的にも名前が知られている大手である。 葬儀だけでも日に何組も受け持っている。
事前に連絡し、当時の担当者名を聞くことも考えたが、当方に残された唯一の情報源であり、下手に小細工をせず、直に会って真っ正面から直接尋ねることにした。

都内の一等地に建つビルの入口には、中小の同業他社を威圧するかの如く、大きな社名を冠し、ロビーには受付まで設けてある。

意外な答えが返ってきた・・・ ≫